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屋久島

春の屋久島で体験する、山桜と新緑の絶景トレッキング

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日本列島の自然の縮図、屋久島を訪ねる

島の大部分が森に覆われた山岳地帯で、「洋上のアルプス」とも呼ばれている、屋久島。中央には島でもっとも高い、標高1,936メートルの宮之浦岳がそびえ、その周りには1,800メートル級の山々が連なり迫力のある山岳風景を見せています。

日本では南部に位置する屋久島の気候は、標高ごとに異なります。亜熱帯から亜寒帯に近い気候まで、幅広い気候帯が存在しており、日本で見られる植生が垂直分布しているのが大きな特徴です。その希少性や景観の美しさから1993年に世界自然遺産に登録されました。

 

実際に屋久島を歩いてみると、海沿いの集落にはハイビスカスやブーゲンビリアといった亜熱帯の花が咲く一方、山に足を踏み入れると樹齢1,000年を超える巨大な天然杉(屋久杉)が数多く自生し、山頂では雪景色が顔をのぞかせるという珍しい景色に出会えます。

屋久島は、年間を通じて雨の多い島です。ある日本の旅行記では「1か月のうち35日は雨」と表現され、滞在中ずっと雨だったという観光客もめずらしくありません。

 

屋久島で登山ガイドを務めながら、フォトライターとして屋久島の観光ガイドブックの執筆や監修もしている菊池淑廣さんは「観光に人気の季節は夏ですが、もし山歩きをするなら春がおすすめですよ」と話します。

 

菊池:屋久島は5月中旬を過ぎると雨期に入るので、その前の比較的雨量の少ない4月上旬〜5月上旬が山歩きにおすすめです。4月には山桜が花を咲かせるので、島の住民もお花見がてら山に出かけます。

 

屋久島の春を彩る山桜は、薄いピンク色の花とともに赤い新芽が出てくるのが特徴です。とくにトレッキングスポット・白谷雲水峡の最奥、標高約1,050メートルの山肌にせり出す太鼓岩からは、新芽の出た山桜と鮮やかな新緑の木々が眼下に広がります。

 

白谷雲水峡は、標高約600〜1,050メートルほどの場所にある、屋久島の森林と触れ合うレクリエーションの場として指定された自然休養林(入林には、森林環境整備推進協力金 として1人500円を任意で支払う)。世界自然遺産エリアには含まれていないものの、空を覆うように枝葉を伸ばす照葉樹の木々や屋久杉の巨木など、屋久島らしい景色が見られる人気のエリアです。

 

太鼓岩は複数の人が座れるくらいの広さがあり、標高1,800メートル級の屋久島の山々が一望できます。太鼓岩に向かうには、白谷雲水峡から片道約3時間の登山道「太鼓岩往復コース」を歩きます。

 

菊池:「太鼓岩往復コース」はアップダウンが少なく、初心者でも挑戦しやすいコースです。しかしビーチサンダルで歩いたり、夕方から山に入ったりすることはやめましょう。転んで怪我をしてしまう、暗くなって道がわからなくなるなどの危険があります。山歩きにはアウトドア用のレインウェア、トレッキングシューズ、リュックサックが必需品です。そのほか、ヘッドライトもあればもしものときに安心ですね。

苔むす森を抜け、新緑と山桜の織りなす絶景を目指す

「太鼓岩往復コース」のスタート地点である白谷雲水峡の白谷広場は、推定樹齢3,000年といわれている屋久杉を目指す「弥生杉コース」や、三本槍杉や奉行杉といった有名な屋久杉を見て回る「奉行杉コース」のスタート地点にもなっており、これから山歩きをする人たちで賑わう場所です。

菊池:屋久島では自然休養林入林時の森林環境整備推進協力金のほか、環境保護活動の一環で、入山の前に、1人1,000円の山岳部環境保全協力金を任意でお願いしています。山には電気も下水道もありませんので、登山道の整備や山小屋のトイレの管理も簡単ではありません。登山者には携帯トイレの使用も呼びかけて、自然環境を守る働きかけをしています。

 

スタート地点から500メートルほど進むと、渓谷にかかるさつき吊り橋が見えてきます。さつき吊り橋までは舗装された遊歩道を歩きましたが、その先は登山道。木々が生い茂るエリアに入ります。

 

屋久島は花崗岩でできている島。約1550万年前に、海底に噴き出したマグマが冷えて花崗岩となり、隆起したことで屋久島が生まれました。そのため、森の奥ではたびたび巨大な花崗岩が現われます。

木の根や岩肌に生い茂る無数の苔も見どころのひとつ。その生き生きとした美しさに思わず見とれてしまいます。

菊池:森のなかでは、白谷雲水峡に流れる白谷川から、小さな支流である沢がいくつも分岐して流れています。湧水も多く、日本に生育する1,600~1,800種の苔のうち、600~700種類を屋久島で見ることができるため、苔の聖地とも呼ばれているんです。

菊池:もし雨が降ってしまっても、多少の雨なら晴れの日とは違った良さが楽しめます。苔が水分をふくみ緑の美しさが際立って見えるんです。ちょうど雨上がりの晴れ間に歩けたらラッキーですね。空気中に湿気があると、森に差し込む陽の光がやわらかく感じられて、とてもきれいですよ。

菊池:春はピンクの花を咲かせるサクラツツジや、屋久島周辺の固有変種・ヤクシマミヤマスミレなどの野花も見られます。また道の脇にも苔が多く生えているので、登山道を外れて歩かないよう、気をつけましょう。

苔の美しいエリアを抜けると、広場のような辻峠に到着します。ここまで来たら、太鼓岩までは残り15分ほど。しかしこのあたりから急に傾斜がきつくなります。補助ロープにつかまり、急斜面と格闘しながら登りきると、そこは太鼓岩の上。思わず「あ!」と声が出るほどの景色が広がります。

眼下に広がる森には、目の覚めるような鮮やかな新緑と、山桜のピンク色、そして新芽の赤がモザイクのように点在し、息をのむほど美しい景色をつくりだしています。視線をゆっくり上げていくと、そこには屋久島の最高峰、宮之浦岳を中心とした山々の大パノラマ。

菊池:山桜が咲く小杉谷と呼ばれるエリアには、1923年頃から林業に従事する人々の集落がありました。しかし1970年に伐採は終了。屋久杉を伐採した跡地に山桜が生えてきました。二次林として森が再生した結果、この景色がつくられているのです。

 

パッチワークのような色とりどりの森の景色に加え、周囲の山々や空、流れる雲も含めて最高の風景です。標高約700メートルに分布する山桜の風景から、標高1,936メートルの宮之浦岳山頂に分布する低木・ヤクシマダケの景色まで、それぞれ植生は違います。この太鼓岩からは、世界自然遺産登録の根拠となった屋久島の垂直分布を体感できるんです。

宮之浦岳の頂上付近をよく見てみると、周囲の低い山とは色が異なります。山頂付近は森林限界と呼ばれ、風が強く、樹木が高く成長できないため森林が形成されません。概ね標高1,700メートル以上のところでは、背の低い灌木やヤクシマダケという笹の葉の草原帯が広がっているのです。

照葉樹林のトンネルをくぐり、西部林道を車で走る

春の屋久島には、山桜以外にも見どころがあります。屋久島の西端に位置する西部林道は世界自然遺産エリア内にあり、ドライブしながら屋久島の自然の景色を楽しめるユニークなスポットです。

菊池:西部林道は、屋久島の西側の海沿いにつくられた道路です。西側は海に面して断崖地形のため、人が住んでいないエリア。そのため、照葉樹の森が広範囲に残っています。

 

人工的な植林が見られない場所ですから、西部林道から森を見ると、生い茂った新緑がブロッコリーのようにはっきりとわかります。

西部林道があるのは標高200メートルほどのエリア。途中、車から降りて森に分け入ると、巨大なガジュマルの木が自生する亜熱帯のジャングルのような風景も見られます。

 

西部林道から山側を見上げると、標高1,000メートル以上の山に生い茂る森の景色が広がり、海側を見下ろすと、亜熱帯気候の海辺を眺めることができます。屋久島にしかない垂直分布の景色を見に行ってみましょう。

ちなみに、道なき森を分け入っていくのは冒険のような楽しさがありますが、携帯電話の電波も届かず、策路や目印もない場所なので、ガイド同伴のツアーに参加することをおすすめします。

 

菊池:西部林道は、照葉樹の枝葉が道路に覆いかぶさっていて、「緑のトンネル」が続いています。照葉樹の葉は分厚く、光をよくさえぎるので、そのぶん木漏れ日の陰影がはっきりします。緑のトンネルを車で走っていると、葉の間から木漏れ日が差し込み、路面に光の玉が映し出されているように見えるんですよ。

 

車窓からは、木陰からこちらを見るヤクシカがいたり、のどかなヤクシマザルの親子がすぐそばを歩いていたりするそうです。動物好きの心をくすぐるスポットでもあります。

菊池:西部林道の一帯は人が住んでいないので、野生の動物たちも頻繁に姿を見せます。森林内の動物は、人間に捕獲されたり危害を加えられることはなく暮らしているので、警戒心なく姿を見せてくれますが、だからこそむやみに近づいたり声を上げたりせず、静かに観察してください。

 

じつは登山客や観光客のなかには、動物に餌をあげてしまう人がいて問題になっているんです。人間の食べ物の味を一度でも知ってしまうと、動物は人間から奪ってでも食べたいと思ってしまいます。その結果、住民や観光客がケガをしたり、生態系に影響をおよぼしたりするおそれもあるので、野生動物への餌やりは絶対にやめていただきたい、というのが島民全体の気持ちです。

 

人を恐れず車道でくつろぐサルの姿を見ていると、この場所が人間のものではなく、野生動物たちのものだとよくわかります。彼らの邪魔にならないよう、安全運転で見学させてもらいましょう。

花が咲き、新芽が芽吹き、新しい命の気配に満ち溢れる春の屋久島を訪れたなら、その美しさを感じるだけでなく、大自然の圧倒的なエネルギーを分けてもらえたような気持ちになれることでしょう。

 

写真提供:菊池淑廣(屋久島メッセンジャー)

屋久島メッセンジャー
住所:
鹿児島県熊毛郡屋久島町小瀬田413-76
電話番号:
0997-43-5630
URL:
https://yakushima-messenger.com/
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