World Natural Heritage in Japan 日本の世界自然遺産

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屋久島

垂直の大岸壁・モッチョム岳に登り、屋久島の自然と大海原を見下ろす

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屋久島の魅力が濃縮された「モッチョム岳」

標高940mながら、岩肌がむき出しのワイルドな見た目と、山頂の大岩から眺める海の絶景が人気の「モッチョム岳」。屋久島南東部にあるこの山は、その堂々たる姿で見る者を圧倒し、神を祀る山として、古くから島の人々の信仰の対象となってきました。

屋久島を訪れる観光客にとって、モッチョム岳登山ツアーは「いつかチャレンジしてみたい」憧れの山。モッチョム岳の登山ツアーを実施している屋久島の会社「山岳太郎」代表の渡邊太郎さんによると、モッチョム岳は「屋久島の魅力が凝縮された山」なのだそう。

 

渡邊:モッチョム岳では、豊作などを願って山に登る「岳参り」という島独自の風習や、世界自然遺産登録の決め手となった「植生の垂直分布」も見ることができます。また、樹齢3,000年を超える「万代杉」や「モッチョム太郎」などの屋久杉、苔が蒸した森など、屋久島らしい自然も体験可能です。

渡邊:最大の魅力は、なんといっても山頂から眺める絶景。見渡す限りの大海原が広がるパノラマを堪能できるのはモッチョム岳ならでは。海に囲まれた屋久島だからこそ得られる登山のごほうびです。

山頂までの距離は短いものの急坂が多く、足場も良いとはいえないそう。頂上付近にはロープで登るポイントもあるそうです。

 

渡邊:登山ツアーのために用意していただきたいのは、トレッキングシューズ、レインウェア、ザック、ザックカバー、ストック、ヘッドランプ、携帯トイレ。遭難者が出ることもある本格的なトレッキングコースなので、個人で登る人は地図を忘れないようにしましょう。足を滑らせてケガをするリスクがあるため、弊社のツアーでは山岳保険に必ずご加入いただいています。

 

モッチョム岳の登山ツアーはトレッキング経験のある中級者以上の方にオススメ。とはいえ男女関係なく、20代〜60代の幅広い世代から人気を集めているそうです。

 

渡邊:また本ツアーに限らず、屋久島の登山道にトイレはほとんどなく、屋久島の希少な自然環境と水資源を維持するため、山岳部のトイレのし尿は人の手で里まで搬出しています。

 

そういった環境保全活動を今後も継続していくため、2017年より世界自然遺産屋久島山岳部環境保全協力金という事業がスタートしました。

 

協力金は任意ですが、屋久島の各所にある観光案内所で納入することができ、日帰り入山の場合は1,000円のご協力をお願いしています。屋久島の貴重な自然環境、水資源を守るうえで大変重要な活動ですので、屋久島を訪れる際はご理解とご協力をお願いいたします。

屋久島の大自然を静かに満喫できるのも、このコースならでは

モッチョム岳の登山道は1ルートのみ。「千尋の滝展望台」の近くにある登山口から山に入り、山頂まで続く往復約5.6kmの1本道を約8~9時間かけて歩きます。

 

ちなみに「千尋の滝展望台」からは、滝壺へと白く伸びる落差60mの「千尋の滝」と、川岸に広がる大きな一枚岩の花崗岩を見ることができます。

千尋の滝の景色を堪能したら、いよいよ登山口へ。ここから早くも急坂が始まります。

渡邊:途中、整備された休憩場所はありません。歩き疲れたら登山道にある石などに座って目を閉じてみましょう。観光客が殺到する「縄文杉」の登山コースに比べると静かな山なので、屋久島の一部になったような気持ちでリラックスできますよ。

ときには山の斜面を横断したり、ロープをつたって急斜面を登ったり、進み続けること約90分。山肌を荒々しく根で掴んだ、周囲の木々とは存在感がまったく異なる屋久杉が現われます。これが推定樹齢3,000年ともいわれる「万代杉」です。

万代杉のある場所の標高は約800m。登山口では亜熱帯地域である屋久島特有の照葉樹が広がっていましたが、この周囲ではスギやモミ、ツガなど、亜寒帯地域で見られる針葉樹が自生しており、少しずつ山頂に近づいていることを実感できます。

 

そして、モッチョム岳で見られるもっとも大きな屋久杉、「モッチョム太郎」までは万代杉から歩いてさらに約30分。万代杉よりも幹が太く、苔に包まれた神秘的な姿が特徴です。

真下に立つと周囲の木々に遮られ先端を確認することはできませんが、力強く伸びる枝や太い幹など、モッチョム太郎の迫力ある姿を間近に感じることができます。

険しい道のりを超えた者だけが手に入れられる、山頂の絶景

モッチョム太郎を過ぎると、だんだんと周囲の木々の背が低くなり、山肌が露出し、視界が開けてきます。山の麓の集落や、その先にある太平洋の姿も目にすることができますが、山頂まではまだまだ険しい道が続きます。

 

渡邊:ここまで来ると岩場が目立つようになります。道のりの険しさはコース前半と変わりませんが、視界が開けたことで高度感を感じ、ガイドの私たちも恐怖で足がすくんでしまうほどです。

最後のロープでは、ほぼ垂直に岩を登ります。落ちると本当に危ない場面です。一歩、また一歩と岩を這い上がっていくと、待っていたのは大海原のパノラマ。モッチョム岳の山頂です。

一枚岩の山頂から眺める360°の大パノラマは圧巻のひと言。海に囲まれた屋久島ならではの絶景は溜息が出るほど美しく、カメラを取り出し、夢中になって写真におさめたくなります。

 

山頂では絶景を楽しみながら昼食やお茶の時間を取り、時間に余裕がある場合はお昼寝も可能。モッチョム岳の登山ツアーだからこそできる贅沢な体験です。

下山中は、希少動物に出会える絶好機

下山は登ってきた道を戻りますが、周囲に注意深く目を向けていれば、ヤクシマザルやヤクシカに会えることもあります。余裕を持って景色を楽しめるのは、やはり登頂の達成感があるからでしょう。

 

渡邊:ヤクシマザルやヤクシカは小柄で愛くるしい動物ですが、遭遇しても食料などは与えず、その姿を写真に収めるだけにしてくださいね。

渡邊:下山にかかる時間は約4時間30分。日が暮れる前に下山したいので、正午頃には山頂を後にします。ロープをつたって岩を降りたり、斜面を横断したりと、登りと同じく危険な箇所が多いため注意が必要です。

 

時間に余裕がある場合は、万代杉の近くを流れる沢でお茶を淹れ、靴を脱いで足を沢につけてみるのもおすすめ。ひんやりとした水が気持ちよく、疲れた足をいたわりながら、しばしリラックスした時間を過ごせますよ。

無事に下山できたらモッチョム岳の登山ツアーは終了。麓からモッチョム岳の山頂を仰ぎ見れば、「あの山に登ったんだ」と感慨深くなります。足場の悪い、急な登りが続くコースですが、頂上での体験はそれらの苦労をすべて吹き飛ばしてくれることでしょう。

山岳太郎
住所:
鹿児島県熊毛郡屋久島町安房410-8
電話番号:
0997-49-7112
URL:
https://www.sangakutaro.com/
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