About 日本の世界自然遺産について
想像を超える絶景、奇跡的なバランスが生んだ環境、そのなかでたくましく生きる動植物たち。「世界自然遺産」に登録されたエリアには、いずれも替えの効かない、その場所ならではの「自然」が育まれています。
世界には、イエローストーン国立公園やグレート・バリア・リーフなど、さまざまな世界自然遺産がありますが、海に囲まれた島国であり、国土の約70%を森林が占める日本にも、「知床」「白神山地」「小笠原諸島」「屋久島」「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島(奄美・沖縄)」という5つの世界自然遺産があります。
これらの自然遺産は人類にとってかけがえのない財産であり、次世代に受け継ぐために守られるべきもの。そのためのルールやマナーも設定されています。しかしそれは自然遺産から人々を遠ざけるためにあるのではありません。かけがえのないものだからこそ、そこに人々が訪れ、触れ合い、感じ、次の世代へ伝えていくことが大切なのです。
日本の世界自然遺産への旅は、想像を超える体験となり、あなたの自然への意識や行動をアップデートするきっかけになるでしょう。それは、自然遺産への旅の選択が、その旅先や地球の未来を守ることにつながることを意味しています。いまこそ「世界自然遺産」への冒険の第一歩を踏み出してみませんか?
世界自然遺産とは
1972年のユネスコ総会で採択された「世界遺産条約」により、人類にとって現在だけでなく、次世代にも共有されるべき価値を持つ「世界遺産」が登録されるようになりました。
世界自然遺産に認定されるためには、世界で唯一の価値を有する重要な地域として、「顕著な普遍的価値」を有する必要があり、それは以下の3つの条件を満たすかどうかで判断されます。
※以下、環境省「日本の世界自然遺産」サイトより引用
世界自然遺産登録の条件
1. 4つの「評価基準(クライテリア)」の一つ以上に適合すること
世界遺産の評価基準<自然遺産>
世界遺産には、大きく分けて「文化遺産」と「自然遺産」があり、自然遺産に登録されるためには4つの評価基準「自然美」「地形・地質」「生態系」「生物多様性」いずれかを満たす必要があります。
(ⅶ) 自然美
最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。
(ⅷ) 地形・地質
生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。
(ⅸ) 生態系
陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。
(ⅹ) 生物多様性
学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する。
※番号(i) ~ (vi) は文化遺産の評価基準です。
2. 「完全性の条件(顕著な普遍的価値を示すための要素がそろい、適切な面積を有し、開発等の影響を受けず、自然の本来の姿が維持されていること)」を満たすこと。
3. 顕著な普遍的価値を長期的に維持できるように、十分な「保護管理」が行われていること。
世界自然遺産でのマナー
世界自然遺産を訪れる際は、次世代に受け継ぐべき価値ある自然環境への影響は最小限に、豊かな自然を楽しみましょう。そのためのマナーやルールをご紹介します。
1. 野生動物に近づいたり、餌を与えたりしない
人間の食べ物の味を覚えた野生動物は、生活場所やスタイルが変化し、生態系が崩れるだけでなく、人里での農作物被害を引き起こす恐れもあります。
2. 遊歩道や登山道から外れない
一度踏み跡がついた場所の植生は、簡単には回復しません。景観や生態系をつくりあげるコケや動植物を守り、荒廃を防ぐためにも、移動や写真撮影などは、定められた道のみでお願いします。
登山道には、一部泥でぬかるんでいる場所もあります。長靴やウェアなど、装備は万全に。
3. 動植物を採取しない
自然遺産地域には、固有の動植物が数多く生息しています。そのひとつひとつが自然遺産地域の豊かな生態系を担い、美しい景観をつくっています。動植物の捕獲・採集・損傷は厳禁です。
4. 山や川、海の水を汚さない
トイレ以外の場所で用を足したり、自然遺産地域内で食器類を洗ったりすると、山や川、海の水が汚染されてしまいます。入域する際は、携帯トイレを持参し、汚れた食器は持参の紙で拭き取り、ゴミは全て持ち帰りましょう。
5. ゴミは持ち帰る
ゴミになるものは最初から極力減らし、ゴミ袋を忘れずに持参して、入域中に発生したゴミは必ず全て持ち帰りましょう。
6. 外来種を侵入させない
自然遺産地域の生態系に影響を及ぼす恐れがあるため、外来種を持ち込まないように注意してください。
特に、極めて高い固有種率を誇る小笠原諸島は、外部の影響を受けやすい生態系。小笠原諸島を訪れる際は、乗船前に靴底の泥や服、カバンに種や虫がついていないか確認しましょう。