World Natural Heritage in Japan 日本の世界自然遺産

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Yakushima 屋久島

神秘的な山岳と多雨が育む巨樹

鹿児島市から南に約135km、太平洋と東シナ海に面した洋上に浮かぶ屋久島。島でありながら、標高2,000mに迫る峰々を擁し、海岸線から山頂までに日本全体の自然植生が垂直に分布、原生的な天然林には樹齢数千年にもなるスギの巨樹が生育します。その稀有な自然環境と生態系が評価され、1964年に霧島屋久国立公園に制定されたのち(2012年に屋久島国立公園として制定)、1993年に日本初の世界自然遺産として白神山地とともに登録されました。樹齢2000年代から7200年とも言われる縄文杉をはじめ、九州最高峰の宮之浦岳(1,936m)、苔むす森が広がる白谷雲水峡など見どころが多く、多様な島の自然を楽しむことができます。

Through a Day 1日をめぐる

屋久島の降水量は多く、山岳部では東京の約6倍とも言われています。その豊富な雨が、美しい景観を作り出し、希少な生態系を育くみます。まさに奇跡の島ともいえる屋久島を巡り出会った景色をお届けします。

白谷雲水峡
06:00

Shiratani-unsuikyo Ravine 白谷雲水峡

早朝、やわらかな朝日が差し込んで幻想的な森を、せせらぎの音をたよりに歩く。白谷雲水峡は1979年に「人と森林のふれあいの場」として選定された自然休養林。より多くの人が屋久島を象徴する奥深い森の景色楽しめるようにと、安全な遊歩道が整備されているのも魅力。ふと足元に目を向けてみると、水滴をたたえた苔と種から芽生えたばかりの木々が箱庭のような世界をつくりだしていました。

淀川
07:00

Yodogo River 淀川

登山道に分け入るとそこは別世界。聞きなれない鳴き声の野鳥がさえずり、樹齢数千年にもなろうかという巨木が優しく枝葉を空に伸ばしています。そろそろひとやすみ、という頃合いに山小屋に到着。その先には、エメラルドグリーンの水をたたえ、おだやかに流れる淀川があります。河岸に腰を下ろし、コーヒーを一杯。森に差し込む朝の光を感じるにはこれ以上の適地はないでしょう。

トロッコ道
08:00

Logging Railroad トロッコ道

かつて林業の山として栄えた屋久島。切り出された木材は、森林鉄道によって街へと運び出されていました。その路線は、いまではトロッコ道として登山者の往来を支えています。約8kmにわたってつづく軌道のハイキングは冒険感あふれるもの。手彫りのトンネルや川をまたぐ橋、さらには仁王杉をはじめ数々の屋久杉が出迎えてくれます。

西部林道とヤクシマザル
09:00

Seibu Rindo Forest Path & Yakushima Macaques 西部林道とヤクシマザル

通称、西部林道。島の9割が森林に覆われる屋久島のなかでも、日本有数の照葉樹林が広がるエリアです。通行する車もまばらな場所で出会うのは、ニホンザルの固有亜種であるヤクシマザル。仲良く毛繕いをしていたり、日向ぼっこをしていたりと見ていて心が癒されます。でも、相手は野生動物。餌やりは厳禁。車の窓からそっと眺めるだけにしましょう。

縄文杉
11:00

Jomonsugi Cedar 縄文杉

うねるように張り巡らされた木の根とダイナミックな佇まいの岩に圧倒される登山道を歩くこと約5時間。ついに屋久島のシンボル「縄文杉」に辿り着きました。推定樹齢は2000年代から7200年とも言われる島の“古老”です。屋久島の厳しい自然を生き抜いてきた荘厳な佇まいもさることながら、いびつな樹形から材木としての伐採を免れたという逸話も。樹上には10種類以上の植物が着生し生態系を形成しており、屋久島の多様な環境を物語っています。

黒味岳
12:00

Mt. Kuromi 黒味岳

眼下に広がる雲海。その先には屋久島の最高峰、宮之浦岳が飛び出すように聳えます。巨大な花崗岩でできた黒味岳の山頂(1,831m)から眺める360°の大パノラマは、片道約5kmの登山道を歩いてきた疲れが吹き飛んでしまうほど。午後からは天候が変わり霧に包まれやすいため、お昼頃までに登頂するのがベスト。頂上でお弁当を食べれば、他ではなかなかできない絶景ピクニック。遠くには縦走登山に挑む猛者の姿も見え、心のなかでエールを送ったのでした。

ウィルソン株
13:00

Wilson's Stump ウィルソン株

まるでステージのような空間にどっしりと鎮座する大きな切り株。約400年前、豊臣秀吉が命じた京都方広寺の建立に使われたといわれており、周囲には伐採後に育った杉の巨木が林立し、時の流れを忍ばせます。ウィルソン株の名は、大正時代にこの地を調査したイギリス人の植物学者E・H・ウィルソン博士にちなんだもの。内部の空間には泉が湧き、見上げればハート型の空洞が梢を切り取ります。

屋久島灯台
14:00

Yakushima Lighthouse 屋久島灯台

群青色の海にせりだす岬の先端にひときわ映える白亜の灯台。1897年に点灯してから100年以上もの間、屋久島灯台は行き交う船の航海を見守ってきました。振り返れば原生林が広がり、海岸線には島を形成する花崗岩が見てとれます。屋久島は海底の溶岩が固まってできた花崗岩が隆起してできた島で、かつては海の底だったのだそう。行き交う船を眺めながら、島の成り立ちに思いを馳せるのでした。

猿川ガジュマル
15:00

Sarukawa Banyan Trees 猿川ガジュマル

ジャングルの小径をかき分けていくと、いまにも動き出しそうなガジュマルの森が。空中を這うように伸びる根は複雑に絡み合い、いったい何本の木があるのかもわからないほど。地上部に伸びる根は気根と呼ばれ、光の少ない森のなかで幹を押し上げ太陽光を少しでも受け止めようとする工夫なのだとか。生命力。そんな言葉がぴったりの不思議な空間に午後の光が差し込んでいました。

千尋の滝
16:00

Senpiro-no-taki Waterfall 千尋の滝

奥行き400mにもなる一枚の花崗岩に沿うように流れ落ちる千尋の滝。人が手を広げた長さを「一尋(ひとひろ)」といい、その岩肌の大きさを表現したのが名前の由来といわれています。滝の落差は約60m。その貫禄は展望台からもしっかり伝わってきます。夕暮れ間近、V字形の谷間に響く水流が砕ける轟音。自然への畏怖、島がもつ水のエネルギーの強さを感じずにはいられません。

塚崎タイドプール
17:00

Tsukazaki Tide Pool 塚崎タイドプール

干潮時にのみ見られるタイドプール(潮溜り)は、多種多様な海の生態系の宝庫。西風に煽られ海が荒れる日でもタイドプールは穏やか。カニやエビなどの甲殻類のほか、魚の子どもが捕食者を逃れて育つ「海のゆりかご」でもあるのです。塚崎タイドプールは暖温帯と亜熱帯の生き物が共存しているのが特徴。屋久島の海の生態系の豊かさを感じられるスポットです。

モッチョム岳
20:00

Mt. Mocchomu-dake モッチョム岳

海岸線からもその姿を望むことのできるモッチョム岳。標高940mながら岩肌がむき出しのワイルドな見た目と山頂の大岩から眺める海の絶景が人気です。登らずとも麓から遠望するもよし。山頂にかかる雲が通り過ぎると満天の天の川が姿を見せてくれました。

写真=相馬ミナ

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