World Natural Heritage in Japan 日本の世界自然遺産

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Shirakami-Sanchi 白神山地

東アジア最大級の原生的なブナ林

青森県南西部から秋田県北西部にまたがる白神山地。この地域には約8000年前からブナ林が存在したとされ、いまも人為の影響をほとんど受けていない原生的なブナの森が広がっています。世界最大級の規模をもつブナ原生林のなかには、ブナ以外にもさまざまな動植物が暮らし、多様な生態系を保持しています。また、急速な隆起によって形成された土地であるため、白神山地内では深い谷や滝、周辺地域では岩棚や柱状節理といった、ダイナミックな自然景観に出合うこともできます。大地の動きと動植物の営みが互いに作用し合いながら、豊かな自然環境が育まれているのです。

Through a Day 1日をめぐる

鳥のさえずりと霧に包まれた、幻想的なブナ林の朝。陽の光を浴びて、まばゆいほど蒼く輝く十二湖。森を出て海岸沿いに来てみると、広い岩棚の海岸に、真っ赤な夕日が沈んでいく。白神山地とその周辺地域で出合った、朝昼夜の景色。

岳岱自然観察教育林
05:00

Dakedaibuna Natural Forest 岳岱自然観察教育林

霞がかかった森が少しずつ明るくなり、朝露に濡れた草花が光をうけてしっとりと輝く。朝のブナ林はしんと静かで、神聖な場所のように思えてきます。苔むした岩々に根を絡ませながら成長したブナの巨木の間を進んでいくと、小さな湧水が。このやわらかな湧水でコーヒーを淹れると、味も口当たりもまろやか。目覚めにぴったりの優しい一杯です。

白神岳
06:00

Mt. Shirakami 白神岳

海岸沿いの道を歩いていたとき、ふと振り返ると、そこには朝靄に包まれた白神の山々が。その静かながらも威厳あるたたずまいに、思わず立ち止まってしまいました。険しい山が連なる白神山地ですが、最高峰・白神岳は、なかでもひときわ荘厳な姿でそびえ、そこに暮らす万物を見守っているかのような神々しさを放っています。

十二湖
09:00

Juniko Lakes 十二湖

生い茂る木々や葉の隙間をぬうように差し込む陽光が、少しずつ強くなりはじめる午前9時。その光を浴びた水面は、はっとするほど美しいブルーに染め上がります。ブナ林に覆われた十二湖は、白神山地から湧き出る澄んだ水をたくわえているため透明度が非常に高いそう。だからこそ、光を受けた水は青色にかがやき、多彩なグラデーションを見せてくれます。

リゾートしらかみ・JR五能線/行合崎
11:00

Resort Shirakami・JR Gono Line / Cape Yukiai リゾートしらかみ・JR五能線/行合崎

青い日本海に赤茶色の奇岩が浮かぶ行合崎。その壮大な風景に圧倒されていると、どこからかガタン、ゴトンという音がして、目の前をJR五能線が颯爽と走り去っていきました。一瞬のできごとに驚きつつ、この雄大な景色を駆け抜けたら、きっと気持ちいいのだろうと想像し、つい笑みがこぼれます。1日に数本、「リゾートしらかみ」が通ることもあるのだとか。

暗門の滝
12:30

Anmon-no-Taki Waterfall 暗門の滝

白神山地のダイナミックな自然を堪能したい、と出かけたのは、暗門の滝へのトレッキング。第一〜第三の3つの滝からなる暗門の滝は、険しい岩肌やブナ、マツなどの老木の間を歩き、急流を越えた先に現れます。激しい水しぶきをあげながら落ちていくその姿はエネルギーに満ちていて、地球の営みの力強さを物語っているようにも思えます。

不老ふ死温泉
13:30

Furofushi Onsen 不老ふ死温泉

朝から思い切り動いたときも、のんびり過ごしたい日でも、旅に出たら温泉に入りたくなるもの。白神山地の麓にある不老ふ老死温泉は、海辺にある露天風呂が自慢。湯船のなかから辺りを見渡すと、目の前を遮るものは何もない、一面の日本海が広がります。熱めの湯に浸かりながら、その眺めをぼうっと見つめていると、心身ともに癒されます。

森山海岸
15:00

Moriyama Coast 森山海岸

足下の海面は、昼下がりの強い日差しを受けきらきらと光り、水面からは大小さまざまな岩が顔を覗かせます。目の前の巨岩には柱状節理という縞模様がびっしりと並び、その対岸には象鼻のような「象岩」、二つの三角岩「双子岩」など、ユニークな岩々がずらり。爽やかな海の青と荒々しい岩が、不思議なコントラストを生み出しています。

世界遺産の径 ブナ林散策道
16:00

World Heritage beech forest trail 世界遺産の径 ブナ林散策道

ブナは光をよく通すため、夏ならば夕方でも森の中はまだ十分明るく、虫や鳥たちの生き生きとした声が響きます。落ち葉が長年積み重なってできたふかふかの腐葉土を踏み締め、季節の花々を見つけ、透き通るような湧水に手をかざす。白神のブナ原生林のなかを歩くと、木々がもたらすさまざまな恵みを五感で感じることができます。

千畳敷海岸 夕日
19:00

Sunset at the Senjojiki Coast 千畳敷海岸 夕日

平らかと思えば巨大な岩があったり、岩場が続いていると思いきや大きな穴が空いていたり……岩棚が広がる千畳敷海岸は、不思議な地形だらけ。大地の織りなすダイナミズムを感じることのできる場所なのです。夢中で散策していたら、いつの間にか空は美しい橙に染まっていました。この場所から見る夕日は燃えるように情熱的で、永遠に見ていたいほどです。

深浦町 星空
22:00

Star-filled sky in Fukaura Town 深浦町 星空

驚いたのは、ふと仰ぎ見た夜空の、まるで宝石を散りばめたような星のかがやき。深浦町は、環境庁(現環境省)による「全国星空継続観察」で、「全国で最も星空観察に適した地」のひとつに選ばれたこともあるのだとか。運が良い日は、天の川もくっきりと見えるそう。白神の夜は、ロマンチックなきらめきで満ちています。

写真=根本絵梨子

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