Ogasawara Islands 小笠原諸島
固有生物を育むボニンブルーの楽園
本州から約1,000km南に離れ、亜熱帯の島々で構成される小笠原諸島。一度も大陸と地続きになったことのない「海洋島」で、波や鳥、風などによって運ばれてきた動植物が独自の進化を遂げてきました。小笠原にしか生息しておらず、希少で保護する必要のあるアカガシラカラスバト、オガサワラオオコウモリなどは固有種として、ザトウクジラやイルカ、アオウミガメやサンゴ礁などは美しい海中景観としてこの島を魅力的にしています。亜熱帯起源のムニンヒメツバキや、日本本土起源のナガバキブシ、オセアニア起源のノヤシなど、多様な起源の植物もまた生息。島の環境にあったもの、適したものが生き残り、共存しています。
Itineraries モデルプラン
24時間の先にある島へ。小笠原諸島モデルプラン
東京都心から約1,000km南。たどり着く手段は、24時間の船旅ただ一つ。多くの人にとって、小笠原諸島はいまだ遠い場所です。日本に五つある世界自然遺産の一つであるこの亜熱帯の島々は、30を超える島からなり、一般住民が暮らしているのは父島と母島の2島だけ。ほとんど手つかずのまま残された稀有な生態系を、島に暮らす小さなコミュニティが守り続けてきました。
このモデルプランがめぐるのは、父島と母島の見どころです。野生の生きものとの出会い、森を歩く時間、そして島のペースに身をゆだねる時間。主だったところは5〜6日あればまわれます。もう少し時間が取れるなら、おがさわら丸の12日間のサイクルに合わせて滞在し、ゆっくりと島での時間を満喫するのもいいでしょう。
- 船のスケジュールを押さえる
- 小笠原へ渡る手段は、東京・竹芝客船ターミナルと父島を結ぶ定期船「おがさわら丸」だけ。所要時間は約24時間です。特に6月から8月にかけての繁忙期は早めに予約を。長い船旅になることも見込んでおきましょう。島はおがさわら丸が入っているあいだに活気づき、数日後、船は都心へと戻っていきます。
- 宿は早めに
- 部屋数は限られており、繁忙期はすぐに埋まります。
- 現金を用意する
- カードが使える店も多いですが、小さな商店や飲食店には現金のみのところもあります。
- 夕食は予約を
- 飲食店の数は限られ、母島は特に少ないです。できれば数日前までに押さえておきましょう。
- 島内の移動
- レンタカー、レンタバイク、レンタサイクルが便利です。父島には路線バスもありますが本数は少なく、夕方以降はさらに限られます。
- 守られている自然に敬意を
- 世界自然遺産であるこの島々には、認定ガイドの同行が必要な場所も多くあります。地域のルールを尊重した行動を心がけましょう。
- 船は予定どおりとは限らない
- 天候や台風で運航が変わることがあるため、日程には余裕を持たせてください。台風の際は復路の出発時間が繰り上がることもあります。島内のアナウンスに耳を傾けましょう。
- 電波は届きにくい場所も
- 携帯電話もWi-Fiも使えますが、場所によってはつながりにくいことがあります。
父島
小笠原を遊びつくす島へ
人口2,000人あまり。父島は小笠原諸島で最大の有人島であり、島々への玄関口です。海にも山にも遊び場がありますが、歩みをゆるめて島の時間に身を置くのも、同じくらいいい過ごし方です。
- プラン数
- 3プラン
- スポット
- 8カ所
- ベストシーズン
- 通年(楽しみ方により異なる)
PLAN 1
まずは島を知る
いきなり遠出はせず、まずは島に体を慣らしていく一日。集落を歩き、海辺へ出て、最後は小笠原の夕日を眺めて締めくくります。
SPOT 01
大村のまちなみ
二見港の目の前に広がる大村は、父島の中心となる集落です。カフェも商店も、宿もツアー会社も、その多くがここに集まっています。宿に荷物を置いたら、まずはこのあたりから散策開始。小笠原村観光協会、小笠原ビジターセンター、小笠原世界遺産センターもすべて大村にあるので、島の人のおすすめを聞きに立ち寄るのにぴったりです。少し坂をのぼれば、鮮やかな朱色が美しい大神山(おおかみやま)神社と、それを取り囲む大神山公園。高台からは、まちなみと港を一望できます。
SPOT 02
父島のビーチ
父島を訪れる理由の一つは、なんといってもビーチです。透きとおった水、白い砂、そして表情の異なるいくつもの浜。大村海岸は港から歩いてすぐ。着いたその足で泳ぐにも、軽くピクニックをするにもちょうどいい場所です。境浦(さかいうら)海岸は水の透明度が高く、戦時中の沈船が今も海中に残る人気のシュノーケリングスポット。もっと静かな場所を求めるなら、コペペ海岸や小港海岸へ。どちらも、さらに人影がまばらな浜です。
SPOT 03
ウェザーステーション展望台
父島でも指折りの展望スポットです。太平洋へ沈んでいく夕日を眺めるなら、ここがいちばん。2月から4月にかけては、沖合を泳ぐザトウクジラの姿が見られることも少なくありません。空の澄んだ夜には、息をのむような星空が広がります。
PLAN 2
自然と生きもの、そして保全の現場へ
小笠原は、一度も他の陸地とつながったことがありません。だからこそ生態系は孤立したまま育ち、ここにしかいない生きものがこれほど多く残りました。小笠原の自然を学び、実際に目で確かめるためのプランです。
SPOT 04
ドルフィンスイムツアーと南島
野生のイルカと泳ぐドルフィンスイムは、小笠原の旅を象徴する体験です。半日または1日のツアーで外洋へ出ると、イルカの群れに出会えることがよくあります。また、多くのツアーは南島にも立ち寄ります。白い砂と石灰岩の造形で知られる無人島で、自然環境を守るため、上陸には一定のルールが設けられています。近くの兄島は、小笠原でも屈指のシュノーケリングスポットです。また、小笠原周辺の海では、冬から春にかけてザトウクジラが回遊し、ホエールウォッチングツアーも行われています。
SPOT 05
小笠原海洋センター
小笠原海洋センターの中心にいるのは、島を代表するアイコン的な存在、アオウミガメです。さまざまな成長段階のカメを間近に見ながら、繁殖や放流をはじめとする保全活動の現在を知ることができます。なかでも人気が高いのが、体験プログラム「ウミガメ教室」。餌やりやお世話に、参加者自身が加わります。季節によっては、孵化したばかりの子ガメを見たり、スタッフの指導のもとで夜の海へ放流したりできることもあります。
※「ウミガメ教室」は、おがさわら丸の入港日と出港日に開催されます。
※小笠原海洋センターは改装のため2026年8月〜2027年春頃まで長期休館しています。
SPOT 06
父島ナイトツアー
日が落ちると、小笠原はまるで違う顔を見せてくれます。ガイドと歩くナイトツアーに出れば、夜ならではの生き物や自然に出会えます。経験を積んだガイドとともに歩けば、オガサワラオオコウモリや、ねぐらにつく野鳥に出会えるかもしれません。人工の明かりがほとんどないため、晴れた夜は星を眺めるにも絶好です。Googleマップには、複数あるスポットのうち、代表的な1か所を掲載しています。
PLAN 3
森の道をたどる
もっと歩みをゆるめて、この土地の風景に深く分け入りたい人へ。ガイドとともに歩くツアーで、島の内陸の自然と、静かな時間をたどるプランです。
SPOT 07
中央山
標高約320m。中央山は父島の最高峰であり、島でも指折りのハイキングコースです。登山道は濃い緑のなかを縫うように延びています。木々のあいだから柔らかな日差しが落ち、波の音は少しずつ遠のいていきます。亜熱帯の森を抜けて山頂へ近づくと視界が一気に開け、切り立った断崖と太平洋が目の前に広がります。往復15〜20分で登ることができ、気軽に絶景を楽しめるのも魅力です。島内ガイドツアーに参加すれば、景色だけでなく、小笠原ならではの自然や歴史についてもより深く知ることができます。
SPOT 08
ハートロック(千尋岩)
ハートロック(千尋岩)は、父島でひときわよく知られた名所ですが、ガイドの同行なしでは訪れることができません。亜熱帯の森を約3時間歩き抜けた先には、太平洋に面した切り立った断崖が広がり、ハート形の岩が海を見下ろすようにたたずんでいます。往復約6時間のトレッキングは、小笠原ならではの自然を存分に味わえる人気コースです。
母島
小笠原の希少な固有種に出会う
父島から船で2時間。母島に流れているのは、よりゆるやかな時間です。亜熱帯の森、変化に富んだ海岸線、そして小笠原でもとりわけ希少な固有種たち。この島の旅は、そうしたものによって形づくられています。
- プラン数
- 2プラン
- スポット
- 5カ所
- ベストシーズン
- 通年(楽しみ方により異なる)
PLAN 1
森の道と、その自然
守られてきた森をガイドとともに歩き、母島の生物多様性を目の当たりにするプランです。
SPOT 01
石門・堺ヶ岳ガイドツアー
このコースが向かうのは、石門の森です。長い年月をかけて風化した石灰岩がつくる「ラピエ」と呼ばれる地形で知られ、この一帯ならではの景観をかたちづくっています。小笠原国立公園の特別保護地区に指定されており、世界でここにしか育たない固有の植物が根を下ろしています。堺ヶ岳の手つかずの亜熱帯林を抜けていくと、島を、そしてその先の太平洋を見渡すことができます。こうした貴重な自然環境を守るため、入林には東京都認定ガイドの同行が必要です。道中は、島の動植物についてガイドの解説を聞きながら進むことができます。
※2026年7月現在、石門ルートの一部は土砂崩れの影響により通行止めが続いています。ガイドツアーで歩けるのは、現在通行可能な区間のみです。今後の利用については、2027年初頭に改めて判断される予定です。
SPOT 02
乳房山
母島の中央にそびえる標高463mの乳房山(ちぶさやま)は、小笠原諸島の有人島の最高峰です。往復約6km、所要はおよそ4時間。登山道はよく整備されていて初心者でも挑戦できますが、山頂近くには急な区間もあります。道中は、ハハジマメグロをはじめとする固有種や、この島にしか生えない植物に目を凝らしてみてください。山頂に立てば、海岸線がぐるりと見晴らせ、ここがどれほど遠い場所なのか、あらためて思い知らされます。
PLAN 2
海岸の風景と、星空と
サンゴ礁から、人目につかない浜まで。母島の海岸線の美しさは、目を見張るものがたくさんあります。
SPOT 03
南崎海岸と小富士
サンゴ礁に色鮮やかな熱帯魚が群れる透明度の高い海が広がる南崎海岸は、母島を代表するシュノーケリングスポットです。南崎遊歩道入口から約45分で海岸へ、さらに約20分歩くと標高86mの小富士山頂へ到着します。遊歩道は大半が緩やかで歩きやすく、最後に少し急な登りがある程度。山頂からは湾とサンゴ礁を一望でき、夕暮れ時には美しい夕景、冬には沖合を回遊するザトウクジラが見られることもあります。泳いだりシュノーケリングを楽しむなら、途中にある蓬莱根がおすすめ。美しいサンゴが見られる人気のスポットです。なお、南崎は湾の外側で潮の流れが非常に強くなるため、遊泳は禁止されています。
SPOT 04
北港・石次郎海岸・蓬莱根海岸
母島には、静かな浜がいくつも点在しています。泳ぐのにも、ただ水辺に腰を下ろしているだけでもいい場所。島の北部、車で30分ほどの北港は、島の人にも親しまれています。海沿いの散策路があり、天候に恵まれれば、父島を望むこともできます。石次郎(いしじろう)海岸は、岩壁の下に隠れるようにある白砂の入り江。都道最南端(南崎ロータリー)から、さらに遊歩道を進んだ先にある蓬莱根(ほうらいね)海岸も、珊瑚が美しい穏やかな浜です。
SPOT 05
旧ヘリポート
日が沈んだら、旧ヘリポートへ。今はただひらけた空間で、人工の明かりがほとんどありません。だからこそ、島でも有数の星空スポットになっています。晴れた夜には、天の川が空を横切っていきます。星座のことや、夜に動きだす島の生きもののことをもっと知りたければ、ガイドつきのナイトツアーに参加するのがおすすめです。
